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2012年6月7日木曜日

東電OL殺人事件 再審開始決定と刑の執行停止決定!

本日午前10時、東京高裁は東電OL殺人事件で無期懲役が確定したゴビンダ・プラサド・マイナリ氏の再審開始を決定すると同時に、刑の執行停止を決定した。争点となったDNA鑑定について決定では、「(弁護側の新たなDNA鑑定結果が)公判で証拠提出されていれば有罪認定できなかったと思われ、無罪を言い渡すべき明らかな新証拠。受刑者以外の男が被害女性と性的関係を持った後に殺害した疑いを生じさせている」として、弁護側の主張に沿った判断を下した。
「無実のゴビンダさんを支える会」では、当初高裁に対して刑の執行停止を申し入れる予定だったが、図らずも刑の執行停止決定が出たことでゴビンダ氏本人はもとより、妻ラダさん、娘ミティラさんやエリサさんらご家族、関係者の喜びもひとしおであった。
検察は決定を受けてすぐに異議申し立てを行ったが、ゴビンダ氏は決定通り横浜刑務所から即日釈放された。現在東京入国管理局横浜支局に滞在。所定の手続きを経て、近日中に家族とともに帰国の途につく可能性が高くなった。



2012年3月27日火曜日

4月8日(日)「無実のゴビンダさん支援集会」のお知らせ


本誌でもたびたび報道してきた「東電OL殺人事件」のゴビンダ・プラサド・マイナリ氏の再審請求は、いよいよ大詰めを迎えている。
昨年7月以降、検察が隠していた無罪証拠(DNA鑑定等)が次々に明らかになり、事件現場で、ゴビンダ氏ではない何者かが被害者と会っていたことが、動かせない事実として証明されている。
無実のゴビンダさんを支える会は、「もはや、一刻の猶予もなく、再審開始を決定し、ゴビンダさんを釈放すべき時にいたっている」として、以下のように支援集会を開催する。

最終局面を迎えた再審請求の現状について弁護団からの報告を聞くことができ、また同様に再審開始に向けて決定的局面を迎えている袴田事件についても、弁護団からの報告を聞くことができる。

4月8日(日)
午後1時半開場 2時開始~5時終了(予定)
於:JAM金属労働会館(301/302)(渋谷)
参加費:500円
会場地図
http://phonebook.excite.co.jp/M13007/13113/0334637394-001/

プログラム
弁護団報告/新証拠と再審 ゴビンダ弁護団
ゲスト講演/袴田事件と再審 小川秀世弁護士
ゴビンダさん・家族からのメッセージ その他
報告/日本国民救援会の取り組み 救援会中央本部
報告/「支える会」の活動と今後の方針 支える会事務局

主催:無実のゴビンダさんを支える会
http://www.jca.apc.org/govinda/

2012年3月15日木曜日

検察独自鑑定でも、ゴビンダ氏のDNA特定されず


1997年、渋谷区円山町で東京電力の女性社員(当時39歳)が殺害された、いわゆる「東電OL殺人事件」は、無期懲役刑に服しながら再審の申し立てをしているネパール人、ゴビンダ・プラサド・マイナリ氏(45歳)の無実を証明する新事実が次々に明らかになっている。(本ブログ関連記事参照)
事件発生から14年目にして、昨年ようやく検察が開示した新証拠・計84点のDNA鑑定が進む中で、ゴビンダ氏ではない第三の人物XのDNAが、(1)被害者の膣内の精液(2)遺体の側に落ちていた陰毛(3)遺体の体表に付着した唾液(4)被害者のコートの左肩に付着した血痕などから検出され、このXが被害者と最後に事件現場で接触した人物であることが疑いようがなくなっている。

再審請求を審理している東京高裁第4刑事部は、これまでに職権で行った57点の鑑定結果だけで十分と判断し、残り27点は関連性や重要性がより小さいとして、鑑定は行わないことを決定している。しかし検察は、最後に残ったこの27点についても、独自に鑑定を行った。その鑑定結果が3月12日夕刻、弁護団に開示された。
それを受けて、弁護団が13日午後、記者会見を行った。冒頭、石田省三郎(いしだしょうざぶろう)弁護士は、「本日の新聞に相反する内容の記事が出ているため、客観的事実を明らかにするためにこの会見を開いた」と説明。27点の資料(被害者の手や衣服に付着した微物)から「(ゴビンダ氏と)一致するとみられるDNA型が検出された」(共同通信)「ゴビンダ氏や、第三者のものと特定できるDNA型は、いずれも検出されなかった」(時事通信)と、報道内容が錯綜していること対して、正確を期すための会見であることを説明した。
神山啓史(かみやまひろし)弁護士は「一部の資料について、請求人(ゴビンダ氏)のDNA型が一部のローカス(DNAの特定の部位)に混在して検出されている」という事実があるだけである、と説明した。
DNAによって個人識別を行う場合、現在はSTRという検査方法が標準的に行われている。これは、DNAの特定の部位で、塩基配列の繰り返し回数を調べ、それを型として同一人物か他人かを識別するものである。1箇所(1ローカス)だけでは、型のバリエーションは多くなく、他人でも同じ型が出ることも珍しくない。したがって現在は16箇所(15箇所の常染色体及び性染色体)を調べて識別力を幾何級数的に高めることで、正確な異同識別が可能になっている。
今回の検察独自鑑定では、一部のローカスにゴビンダ氏にも存在する型があった、というにすぎない。この型がゴビンダ氏に由来するか明らかではなく、被害者の手や衣服にゴビンダ氏が触れたことがある、という事実とは全くかけ離れている。
現段階では正式な鑑定書も出来上がっておらず、これらのDNA断片資料から有意な結論を引き出すことは不可能であり、弁護団は「検査データを鑑定人がどのように評価するかを待ちたい」と述べて会見を終了した。しかし、異同識別という意味では鑑定不能という結果になる可能性が高いものと考えられ、検察独自鑑定によっても、ゴビンダ氏に由来すると特定できるDNA型は検出されなかった、と結論づけるしかない。
少なくとも「再審請求受刑者とDNA一致」(デイリースポーツ・オンライン)など一部の報道に見られたセンセーショナルな文言には、何の根拠もないことが明らかになった。ネット版では共同通信の配信記事を掲載した東京新聞が、13日夕刊では「受刑者の型、検出せず」と報じるなど、報道にも軌道修正が見られている。
再審について裁判所、弁護団、検察が行っている三者協議は、3月19日に次回が予定されており、この日に審理を終結させ、東京高裁が再審開始か否かを決定するプロセスに進むものと考えられる。

<文責・今井恭平>

2012年1月27日金曜日

追加DNA鑑定はしない意向(東京高裁)


再審の是非の判断に移行

東京高裁は、これ以上の追加鑑定は行わないという意向を、弁護団、検察双方に伝えた。これにより、証拠調べを打ち切り、再審の可否を判断するものと見られる。

本ブログ既報の通り、昨年9月に開示された42点の新証拠(つまりこれまで検察が隠していた証拠)のうち15点の鑑定が今月までに終わっており、検察は正式鑑定書が出来上がるのを待って3月16日までに意見書を提出するとしている。
その後、残り27点の追加鑑定を行うか否か(弁護団は必要なしとしている)が当面の焦点だった。
讀賣新聞1月25日朝刊によれば、高裁はこの追加鑑定を行わない意向を、弁護団、検察双方に伝えたとされる。。
したがっていずれにしても3月19日の次回三者協議をもって証拠調べを打ち切り、再審を開始するか否かを決定する最終プロセスに入る可能性が強まった。

<文責・今井恭平>

2012年1月25日水曜日

1月24日 三者協議


またしても検察の引き延ばし策

1月24日午後5時より、東京高裁でゴビンダさん再審請求審の三者協議(高裁第4刑事部、東京高検、弁護団による非公開の協議)が開かれた。だが30分後には弁護団が記者会見場に姿を見せ、三者協議はわずかの時間で終了したことが分かった。


弁護団によれば、検察は昨年9月から開始した15点の追加DNA鑑定の正式の鑑定書が出来上がるのが2月末となるため、それが出来たあとで意見書を作成する、それには3月16日までかかると主張したという。そこで、裁判所はそれを待って3月19日に次回の三者協議を開くことを決め、それだけで24日の協議は実質的に何の進展もなく終了したようである。
正式の鑑定書が出来上がっていないとはいえ、すでに各資料の鑑定結果はその都度あきらかにされており、弁護団は即座に再審請求補充書を何通も作成し、意見を表明している。もはやこれ以上の事実審理の必要はなく、ただちに再審開始を決定すべき時期にきているのは明白だ。検察はまたしても鑑定書が完成していないことを理由に時間の徒な引き延ばしを謀っていると指弾されても仕方ない。
さらに残り27点の追加鑑定などを主張する可能性もある、と報じられているが、到底許されることではない。
支援団体の無実のゴビンダさんを支える会には、ネパールのご家族からこの日もすぐに電話があり、協議の結果を期待と不安を胸に待っていたことが伺われる。
次々と無罪証拠が明らかになっているにもかかわらず、再審がなかなか決定されないことは、ご家族には理解不能なことだろう。われわれ一般市民の感覚からしても、理解に苦しむことである。

文責・今井恭平

真犯人Xの浮上

検察が14年間隠していた証拠から、真犯人像が浮かび上がった!

昨年7月23日付けの鈴木鑑定によって、従来は存在が知られていなかった人物Xの存在が浮上。この男性は被害者の体内に自分の精液を、そして事件現場のK荘101号室に体毛を残していた。
しかも昨年9月2日、検察(東京高検)は、これまで隠していた証拠がさらにあったことを明かした。ことに重要なのは、それらの中に、被害者の身体の表面(胸や口周辺など)に唾液が付着しており、その血液型がO型だという鑑定書が含まれていたことだ。(ゴビンダさんはB型だから、DNA鑑定をする以前の問題として、これは別人のものだ)その上、そのことは事件直後の1997年4月3日には判明していたことが分かった。(O型唾液が付着していた、という鑑定書の日付が同日)つまり、別人の唾液が被害者の身体に付着していた、という重要な無罪方向の証拠を隠した上で、逮捕、起訴していたということなのだ。これは、無実の人を意図的に有罪にしようとした意図的な犯罪行為としか言いようがないものだ。

さらに、11月1日には、このO型唾液のDNA型も、Xと一致したことが判明。Xが真犯人である蓋然性はさらに高まった。
支援団体「無実のゴビンダさんを支える会」や国民救援会等が主張している通り、もはや再審を開始する要件は完全に整っている。そして、無実の人が無期刑に服しているという異常な事態が継続していることが明らかであり、東京高裁はただちに事実審理を打ち切って再審開始決定を出すべきだし、当然ゴビンダさんの身柄も、刑の執行停止によって自由にすべきだろう。

文責・今井恭平

鈴木DNA鑑定は、再審開始を決定づける明白な証拠


7月23日に東京高裁に提出されたDNA鑑定書(鈴木廣一・大阪医大教授作成)によって何が明らかになったのか。なぜ、それはゴビンダさん無罪の決定的な証拠と言えるのか。

◆前提となる事実(一二審の判決構造)
それを理解するためには、まず東電OL殺人事件で何が争点となったのか、何が一審の無罪と控訴審の有罪という結論を分けたのかをあらためて確認しておくことが必要だ。
一審無罪判決の要点 

  • コンドームは事件当夜に投棄されたものとは言い切れない。
  • 被害者の死体付近に、被告人及び被害者以外の者の陰毛が2本落ちていた。
  • 第三者が101号室に人って本件犯行に及んだ疑いが払拭しきれない。
  • 巣鴨の定期入れ(ゴビンダさんに土地勘のない場所に被害者の遺留品があった)
  • 被害者による101号室独自使用の可能性を否定しきれない。


以上から、情況証拠はいずれも反対解釈の余地があり(有罪とも無罪とも言い切れない)「被告人を犯人とするには合理的疑いが残る」

控訴審逆転有罪の要点 

  1. 現場に遺留されたB型陰毛2本のうちの1本のミトコンドリアDNAが被告人と一致
  2. 現場のトイレに遺棄されたコンドーム内の精液のDNA型が被告人と一致
  3. このコンドーム内の精液は遺棄されてから10日と考えても押尾鑑定結果と矛盾しない
  4. 事件前の2月下旬~3月2日ころまでに被害者と101号室で買春したとの弁明は、被害者の手帳記載(きわめて正確)と照らして信用できない。
  5. S田の目撃証言は信用性が高い。
  6. 3月8日に被告人が101号室に行くことは時間的にも可能
  7. 他方、被告人の言うとおリに、本件犯行が行われる以前から、K荘101号室 の出入口の施錠がされないままになっていたとしても、右アパートに係わりのない被害者が、同室が空室であり、しかも施錠されていないと知って、売春客を連れ込み、あるいは、被告人以外の男性が被害者を右の部屋に連れ込むことは、およそ考え難い事態であること。


最も重要なのは7.であり、他は補完的証拠に過ぎない。

◆鈴木鑑定で判明した事実

被害者の膣内の残留精液(血液型O型)のDNA型は、被害者が最後に一緒にいた馴染み客A氏のものとは一致しない。この型をもつ人物は従来はまったく未知の第三者である。
101号室のカーペット上に残されていた陰毛のうち、1本のDNA型が、この未知の人物X氏のDNA型と一致した。
室内の他の2本の陰毛から、被害者とX氏のDNA型が混合した型が検出された。

ここから分かること
●被害者はゴビンダさんでもA氏でもない未知のXと、101号室内で関係をもった。
●すなわち、控訴審有罪判決の大前提である
「被告人以外の男性が被害者を右の部屋に連れ込むことは、およそ考え難い事態である」
が完全に(推測ではなく)物証によって否定された。
したがって、被告人に無罪を言い渡すべき証拠が新たに発見された場合に相当し、刑訴法435条⑥にいう再審開始事由が満たされたことになる。したがって刑訴法448条第1項にもとづき、東京高裁は再審を開始しなければならない。

註 被害者の血液型はO型、ゴビンダさんはB型。被害者と夜7時から10時ころまで一緒にいた客のA氏もO型。 (殺害時刻は深夜0時前後ころ)


<文責・今井恭平>

ゴビンダさん無実の新たな証拠

新DNA鑑定をめぐる経緯

ゴビンダさんの無罪をより確定的に証明するDNA証拠が明らかになったのは、昨年7月のこと。それ以降の経緯を、まず時間軸にそって整理しておこう。

●2011年 7月21日
讀賣新聞のスクープ(朝刊1面と社会面トップ)
「東電OL殺害 再審可能性」 その後、テレビや各紙夕刊が一斉に報道。
検察は、情報漏れについて何の釈明もないまま、鑑定結果が「再審開始事由にならない」等の非公式コメントをメディアに流し始める。
●7月25日
午後5時、検察が鑑定書を弁護団に開示。鑑定書の日付は7月23日。つまり鑑定書が出来上がる前に、内容の一部がリークされたことになる。
●7月26日
弁護団が鑑定書を証拠申請し「再審請求補充書(8)」を東京高裁に提出。「本日付で提出した鈴木廣一作成の鑑定書は、請求人(ゴビンダさん)に無罪を言い渡すべき明かな新証拠です」として「速やかに再審開始が決定されるべき」と申し立てた。
夕方、司法記者クラブで記者会見した弁護団は、検察に対し、刑の執行停止(釈放)を申し入れたこと、また、法廷外で新証拠の証拠価値に関わるコメントを行っていることに厳重に抗議した、と明らかにした。
●8月4日
支える会と日本国民救援会、東京高検に対する要請行動--「再審の開始を遅れさせる行為は一切しないこと」「ゴビンダさんを直ちに釈放すること」の2点を申し入れ。
●8月10日
裁判所・弁護団・検察の三者協議。検察は、鑑定書を認めるか争うかについて無回答。回答時期についても「今は返答できない」。裁判所は回答時期を一週間以内に明らかにするように要求。→ 後に検察は9月16日までに意見を表明すると回答。
無実のゴビンダさんを支える会と日本国民救援会が高裁に要請行動--「直ちに再審開始を決定し、刑の執行を停止すること」
●9月2日
検察が、さらに42点の証拠を開示し、それらのDNA鑑定を行いたいとの意向を裁判所と弁護団に伝える。→ 弁護団には証拠の一覧表のみ開示
●9月8日
上記42点のうち、被害者の胸部や口に付着していた唾液からO型反応が出たが、B型反応は出なかったという鑑定書を含む証拠が開示される。
この鑑定書の日付は、1997年4月3日。つまり、強盗殺人での逮捕前(別件・オーバーステイのみでの逮捕時)には、被害者の身体から別人の体液が発見されていることが判明していたことになる。
●9月9日
急遽、三者協議が開かれ、弁護団は鈴木鑑定以降にもさらに隠されていた証拠があったことに怒りを表明。これらの証拠のDNA鑑定については今後慎重に検討する、とする。
その後、一部のDNA鑑定について弁護団も同意。42点のうちの15点を3グループに分け、鑑定が先行して行われることとなる。
無実のゴビンダさんを支える会、新たに発覚した証拠隠しに対して抗議声明を公表。
●9月12日
弁護団、唾液に関する新開示鑑定を追加で証拠申請する。
●10月21日
被害者の遺体(右乳房と下半身2箇所)に付着していたO型唾液と膣内残留精液(X)のDNA型の一致が判明。
●11月2日
上記を弁護団が証拠申請。
●11月22日
第2グループの内、被害者の首周辺等のDNA型は検出不能と判明。
●12月27日 本年最後の三者協議。第3グループの6つの鑑定試料のうち、5つまで鑑定終了。有意な結果なし。残り1点は鑑定中。今年1月24日に三者協議。
●2012年 1月20日
讀賣新聞等の報道で、昨年末に1点残っていた鑑定試料(被害者の下着)からもゴビンダさんのDNAは検出されなかったことが判明。
●1月24日 三者協議
15点の追加鑑定の正式な鑑定書が出来上がるのが2月末になる、という理由で、検察は意見書提出を3月16日まで引き延ばし。その後19日に三者協議がもたれる。弁護団は鑑定結果が出るつど、再審請求補充書を提出しており、検察のこの時間稼ぎは許されるものではない。
3月19日の三者協議で東京高裁が事実調べの打ち切りを決定し、ただちに再審開始決定を作成するプロセスに入ることが問われている。

<文責・今井恭平>