2012年1月25日水曜日

ゴビンダさん無実の新たな証拠

新DNA鑑定をめぐる経緯

ゴビンダさんの無罪をより確定的に証明するDNA証拠が明らかになったのは、昨年7月のこと。それ以降の経緯を、まず時間軸にそって整理しておこう。

●2011年 7月21日
讀賣新聞のスクープ(朝刊1面と社会面トップ)
「東電OL殺害 再審可能性」 その後、テレビや各紙夕刊が一斉に報道。
検察は、情報漏れについて何の釈明もないまま、鑑定結果が「再審開始事由にならない」等の非公式コメントをメディアに流し始める。
●7月25日
午後5時、検察が鑑定書を弁護団に開示。鑑定書の日付は7月23日。つまり鑑定書が出来上がる前に、内容の一部がリークされたことになる。
●7月26日
弁護団が鑑定書を証拠申請し「再審請求補充書(8)」を東京高裁に提出。「本日付で提出した鈴木廣一作成の鑑定書は、請求人(ゴビンダさん)に無罪を言い渡すべき明かな新証拠です」として「速やかに再審開始が決定されるべき」と申し立てた。
夕方、司法記者クラブで記者会見した弁護団は、検察に対し、刑の執行停止(釈放)を申し入れたこと、また、法廷外で新証拠の証拠価値に関わるコメントを行っていることに厳重に抗議した、と明らかにした。
●8月4日
支える会と日本国民救援会、東京高検に対する要請行動--「再審の開始を遅れさせる行為は一切しないこと」「ゴビンダさんを直ちに釈放すること」の2点を申し入れ。
●8月10日
裁判所・弁護団・検察の三者協議。検察は、鑑定書を認めるか争うかについて無回答。回答時期についても「今は返答できない」。裁判所は回答時期を一週間以内に明らかにするように要求。→ 後に検察は9月16日までに意見を表明すると回答。
無実のゴビンダさんを支える会と日本国民救援会が高裁に要請行動--「直ちに再審開始を決定し、刑の執行を停止すること」
●9月2日
検察が、さらに42点の証拠を開示し、それらのDNA鑑定を行いたいとの意向を裁判所と弁護団に伝える。→ 弁護団には証拠の一覧表のみ開示
●9月8日
上記42点のうち、被害者の胸部や口に付着していた唾液からO型反応が出たが、B型反応は出なかったという鑑定書を含む証拠が開示される。
この鑑定書の日付は、1997年4月3日。つまり、強盗殺人での逮捕前(別件・オーバーステイのみでの逮捕時)には、被害者の身体から別人の体液が発見されていることが判明していたことになる。
●9月9日
急遽、三者協議が開かれ、弁護団は鈴木鑑定以降にもさらに隠されていた証拠があったことに怒りを表明。これらの証拠のDNA鑑定については今後慎重に検討する、とする。
その後、一部のDNA鑑定について弁護団も同意。42点のうちの15点を3グループに分け、鑑定が先行して行われることとなる。
無実のゴビンダさんを支える会、新たに発覚した証拠隠しに対して抗議声明を公表。
●9月12日
弁護団、唾液に関する新開示鑑定を追加で証拠申請する。
●10月21日
被害者の遺体(右乳房と下半身2箇所)に付着していたO型唾液と膣内残留精液(X)のDNA型の一致が判明。
●11月2日
上記を弁護団が証拠申請。
●11月22日
第2グループの内、被害者の首周辺等のDNA型は検出不能と判明。
●12月27日 本年最後の三者協議。第3グループの6つの鑑定試料のうち、5つまで鑑定終了。有意な結果なし。残り1点は鑑定中。今年1月24日に三者協議。
●2012年 1月20日
讀賣新聞等の報道で、昨年末に1点残っていた鑑定試料(被害者の下着)からもゴビンダさんのDNAは検出されなかったことが判明。
●1月24日 三者協議
15点の追加鑑定の正式な鑑定書が出来上がるのが2月末になる、という理由で、検察は意見書提出を3月16日まで引き延ばし。その後19日に三者協議がもたれる。弁護団は鑑定結果が出るつど、再審請求補充書を提出しており、検察のこの時間稼ぎは許されるものではない。
3月19日の三者協議で東京高裁が事実調べの打ち切りを決定し、ただちに再審開始決定を作成するプロセスに入ることが問われている。

<文責・今井恭平>